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のんたん先生教えて!子育ての気になる…どうすべき?

【子どもの外遊び】どう遊んだらいい?自然保育のプロが伝える子どもが自然の中で過ごす意味

【子どもの外遊び】どう遊んだらいい?自然保育のプロが伝える子どもが自然の中で過ごす意味
兵庫県西宮市の「森のようちえんさんぽみち」の園長"のんたん"こと野澤俊索さんが、幼児期の子育てで気になるあれこれを綴る連載。今回のテーマは「自然遊び」について。
目次

暖かくなり、子どもたちの外遊びが楽しい季節になってきました。公園はもちろん、春休みを利用して、キャンプやBBQなど自然の中に遊びに出かける家族もいるかもしれませんね。

親としては子どもにできるだけ自然と触れ合わせたいと思うものの、いざ何をしたらいいのか、わが子が自然遊びがうまくできているのか、気になってしまうことも…。

そこで、「森のようちえん さんぽみち」園長の野澤俊策さんに、森のようちえんでの子どもたちの1日の過ごし方を紹介していただきながら、自然の中で遊ぶとはどういうことなのか、その恩恵についても教えてもらいます。

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昨今のアウトドアブームで、子どもも大人も外遊びに興味を持っていますね。

「森のようちえんさんぽみち」は園舎をもたず、子どもたちは毎日森に出かけます。森をおさんぽしたり、森で遊んだり。でも「毎日同じところに行って、一体どんなことをしているのですか?」とよく聞かれます。

森のようちえんの子どもたちが毎日どんなことをして遊んでいるのか、そしてそれにはどんな意味があるのかをご紹介しましょう。

自然保育の1日

3月に入り、森の中は急に春めいてきました。冬の服装のままだともう暑くて汗が出てきます。

午前中の子どもたちはとても活発!走ったり、登ったり、時には木の枝を振り回したり、何かを投げたりぶつけたり叩いたりして遊んでいます。それに大声を出してみたりと、とにかくにぎやかです。

でもそこは自然の中。空間の広さは人と人との間隔のゆとりを与えて、ぶつかったり、ものを叩いたりしても、人にけがをさせたりしたりする心配は少ないです。大声を出しても、それほど迷惑なことがありません。都会の場合だと、広い都市公園や河川敷などがこういう場所にあたりますね。

お弁当を食べてお腹を満たしたら、午後の遊びはゆっくりと落ち着いてすることが多いです。午前中に十分な発散をしたら、集中力が増して、じっくりとモノづくりに取り組んだり、虫探しに夢中になったりします。

手先は年長になるにしたがってとても器用になって、つるをとってきてリースやかごを編むことも。
虫が好きな子は、その居場所を見つけるカンがとても冴えていて、捕まえる時の俊敏さと、虫をつぶさないようにそっと、でもしっかりと持つ微妙な力加減を知っています。それは虫の命を実感して、それを守るようなやさしさを感じさせます。

オモシロイモノは子どもによって多種多様

実は子どもたちが森にいる時、初めからこんな風に積極的に遊ぶわけではありません。年少の3歳のころ初めて森に来た子どもたちは、何をして遊んでいいかわからず立ちすくんでいることもあるし、手足が汚れるのを嫌がって何もしない子もいます。

それでも毎日森に通うことでだんだんと慣れて、何か自分に合った"オモシロイモノ"を探し始めます。このオモシロイモノは、人によって全然違います。自分に合ったオモシロイモノを見つける過程と、それにのめりこんでいく時間が、子どもたちにとって一番の自然遊びなのではないかと思います。

大人は、自然の中に行くと子どもに「何をしたら・させたらいいのか」ということに捉われ、迷い悩んでしまいがちです。でも、それは年少の子がはじめて森に来た時に、どうやって遊んだらいいのかわからなくて立ちすくんでいるときと似ているような気がします。

何をするとオモシロイのかは、人によって違います。だから、先に考えるよりもいつかわくわくと動き出すその気持ちに従ってみるのがいいような気がします。

自然の中にいることの大きな恩恵の一つに、五感への刺激があります。
自然の中では、風が吹けば肌で感じるし、日が差せば温かさを感じます。木の葉の音や鳥のさえずり、川のせせらぎは耳から飛び込んでくるし、匂いも、色も動きも、鼻や目から飛び込んできます。そして動き出せば触ってみたり、口に入れてみたり、食べられる木の実や山菜があれば味わうことだってできます。

まだ歩けない赤ちゃんだって、抱っこして森にいるだけでとてもたくさんの刺激を受けているのです。

そう、大切なのはここ(自然の中)にいることそのものなのです。

自然の中に身を置くことに意味がある

何をするかということではなくて、ここにいることそのものが、子どもたちにとって一番の価値を与えます。そしてその五感への刺激が十分に脳に届き、それが心の揺れに変わったとき、"オモシロイモノ"を探して動き出すエネルギーが湧いてきます。ひとりひとり違うそれが、それぞれの自然をつかった遊びに変わっていきます。それを自然遊びと呼びます。

子どもたちは遊ぶために生まれてきました。それは、遊ぶということが子どもたちの第一の欲求であり、生きている意味そのものであるということに他なりません。

また子どもたちは遊びを通じて身体能力や精神発達、社会性や協調性などを育みます。無限の選択肢の中から自分で作り出す遊びが、子どもを育てます。とても難しいことのような気がしますが、それが遊びの自然な姿であり、遊びの意味なのです。

"人の用意できない多様性"を用意することは、自然の中ならたやすいことです。子どもたちの遊びは、自然の中にあってこそ、その意味を増し、深みをもっていくことでしょう。

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執筆者

森のようちえんさんぽみち園長 野澤 俊索

NPO法人ネイチャーマジック理事長、兵庫県自然保育連盟 理事長、森のようちえん全国ネットワーク連盟 理事
神戸大学理学部地球惑星科学科 卒業。
兵庫県西宮市甲山にて、建物を持たず森を園舎とする日常通園型の自然保育「森のようちえんさんぽみち」を運営して10年。今では2歳から6歳までの園児25名と一緒に、雨の日も風の日も毎日森へ出かけていく日々。愛称は"のんたん"。森のようちえん全国連盟では指導者の育成を担当している。
プライベートでは2歳の娘の子育ても楽しみにしている。

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第2・4木曜日 更新

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