ひらがなの読み。
「お友だちはもう読めるのに、うちの子は全然興味がない…」などと、親は早く読めるように教えなきゃと焦りがちですが、「まずは教えてはいけない」「読ませることを強制してはいけない」とキッズコーチングの専門家・TERUさんは語ります。
ひらがなが読めるようになるためには、日常の中にひらがなで遊べる物がどれだけあるか。大げさに言ったら8割がそこで決まると思います。
ひらがなが書いてある積み木でもいいですし、カルタでもいい。最近はいろいろなひらがなにふれられるおもちゃがありますよね。
その子が楽しめるものであれば、アイテムは何でもよいと思います。
定番の積み木やカルタはひらがなの文字が大きいものを選ぶといいですね。
絵だけが目立って文字が小さいと、絵だけの認知になってしまうので、視覚的にひらがながちゃんと飛び込んでくるものがいいでしょう。絵の裏に、大きくひらがなが載っているなんてものもいいと思います。
文字そのものから教えるのはかなり難しいので、最初は絵の力を借りるのがいいと思います。ですから、子どもが好きそうな絵柄のものを選んであげるといいかもしれませんね。
カルタ取りなどは、最初は文字ではなく絵で認識して取るかもしれませんが、そのうちにちゃんとひらがなも認識していくので問題ありません。
一番効果的なのは、「あいうえお表」50音表です。
これは小さいときから、とりあえず家のどこかに貼っておくといいですね。
貼っておくだけで、自然と形として視覚的にインプットされます。1回見たものは興味を持ちますし、慣れてきたら指をさしていっしょに見ながら遊んでいく。この表がいつもの空間にあることで、親も意識づけしやすいですよね。
一度見たものに反応しやすい子どもの特性を利用して、家の中の物に文字を貼っていくのも効果的です。
テレビに「てれび」、洗濯機に「せんたくき」など、シールなどで貼っていきます。インテリア的にはちょっと…と思うかもしれませんが、毎日の生活の中で自然に文字が飛び込んでくるので、インプットとしての質は格段に上がります。
新幹線が好きな子だったら、新幹線のおもちゃに「のぞみ」などと種類を貼っていくなど、まずは子どもが好きなものに貼るだけでも、十分効果的だと思います。
そのほか「歌」もいいですね。いろいろな「あいうえおの歌」がありますので、遊んでいるときに流しておくだけでも、言葉が自然と耳に残っていきます。
ひらがなはインプット勝負です。逆に、大人はインプットするための環境作りしか手伝ってあげられないと思いましょう。
そして、このインプットの環境づくりに早すぎるということはありません。
小さなころから遊んでいる環境で、自然にひらがなにふれられるように「興味の種まき」をしておくことはとっても大切なのです。
ここまでお伝えしてきたのは、あくまで教えることではなく、子どもが自然にインプットしていける環境づくりです。 そのような環境の中で遊んでいくうちに、自然と子どもがひらがなを読みたくなる「タイミング」が訪れます。
そろそろ、始めようかな、読ませようかなとタイミングを測りがちなのが親ですが、あくまで子どものタイミングを待つことが大切です。
このタイミングがやってきて、ひらがなが読めるようになるのには個人差があり、親が焦るポイントでもありますが焦ってはいけません。
子どもが主体的になるまでは、親は会話をしたり、環境を整えたり、外的なインプットをしてあげるのが一番のサポートです。
たしかに、うちの子も急に看板などのひらがなを読みはじめました…!
子どもから「あふれて来る」、その子どもが主体的にひらがなを読みたくなったタイミングがきたら、そこからは早いものです。
親が少しテクニックを使って、その力を伸ばしていきましょう。子どもは簡単にできることを繰り返していくことで、どんどん読めるようになっていきます。
そのとき気をつけたいのは、「段階を踏んでいくこと」。
読めるようになってきたから!と焦らず、遊びながら少しずつステップアップしていきましょう。
まずは、2枚のカードを見せて「どっちが"あ"でしょうか?」となど質問して選ばせることから。まずは簡単でハードルの低い二択から始めます。
つぎは、カードや積み木などを数をしぼって渡し、ことばに並べたり、あいうえお順などに並べてみましょう。徐々にステップアップします。
続いて、たくさんのひらがなの中から一文字を拾えるようにします。本のページの中から「"あ"はどこにあるかな?」でもいいですし、街中の看板などから探すのもいいですね。カルタ遊びもこれにあたります。
だいたい読めるようになったら「これはなーんだ?」などと、一文字ずつひらがなを指して答えさせます。
子どもがひらがなを読み始めると、親はすぐにこれをやってしまいがちですが、この一問一答形式はひと通り読めるようになってから!その理由は、もし子どもがこれでパッと答えられないとストレスを与えてしまうため。
あくまで子どもの「おべんきょう」は楽しくが基本です。できた!という体験を積み重ねられるようにステップアップしていきましょう。
その後は「あ」から始まる言葉をさがそう!など、どんどん幅を広げていきます。家族でゲームとして楽しくできることがおすすめです。
ひらがなが読めるようになっても、文章をなかなか読めないという悩みもよくありますが…
就学前であれば、文章はスムーズに読める必要はないと思っていますが、ある程度ひらがなが読めるようになったら、大好きな絵本を読んでみることにチャレンジしても。まずは、好きな1ページを選んで読むのもおすすめです。
だいたいの絵本は、センテンス、助詞で文と文の間に区切りとして「わかち」を取っているので、そのかたまりごとで読めるようにするとよいでしょう。
絵本を紙に書き出して、1文ずつ分けて見せるのもいいですね。文字の拾い読みから、かたまり読みにステップアップしていくと、子ども自身も「読めている」という手ごたえがグッと感じられて楽しくなっていくと思います。
こんな風に、選択肢や多様な引き出し方を知っておくと、子どものタイプに合わせてママもパパも試行錯誤しながら、応援できると思います。
まずは、子どもが吸収できる環境を整えて、子どもが「読みたくなるタイミング」がくるのを待つ。タイミングがきたら、親が徐々にステップアップさせて幅を広げていく。そのステップがわかりました。
次回は、さらに進んで「ひらがなの書き方」についてお伺いします。
家庭教育アドバイザー TERU
幼児教育の講師。 1000人以上の子どもたちと関わってきた経験をもとに、0~12歳の保護者向けに知育、育脳、子どもとの接し方など家庭教育情報を発信している。登録者8万人超のYouTubeでは"子どもを成長させる"実践的な子育て動画を配信中。
YouTube:子育て勉強会 TERU channel
Twitter:@TERUkyoiku
Instagram:teru_kyoiku
ライター 赤司 陽子
大学卒業後、製薬会社での勤務を経て、大手教育関連企業に転職。約10年間幼児教育・小学生教育事業に携わる。その後夫の海外赴任に随行し、アメリカで出産・育児を経験。多様な価値観に触れる。帰国後、フリーのプランナー・エディター・ライターとして活動中。現在、5歳女子・3歳男子の年子育児に奮闘中。
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積み木やカルタはどういうものを選べばよいでしょうか