わが子がひらがなを書けるようにするのに、苦労しているママやパパは多いのではないでしょうか。
たしかに、鉛筆を持って字を書くことは最初はとても難しく、また少しずつ書けるようになっても、筆圧が弱くてひょろひょろだったり、書き順が間違っていたり、鏡文字になってしまったり…と、とにかくいろいろ気になってしまいますよね。
キッズコーチングの専門家TERUさんによると「ひらがなを書く練習に入る前の"種まき"が大切」とのこと。
種まきとは、いったいどういうことなのでしょうか。
ひらがなの「書き」は、ひらがなを読めるようになってから始めていきます。読み書きを並行して教える…という方もいますが、やはり読めないと書くのは難しいと思います。
まずはひらがなの読みの練習から始めましょう。
ただ、読めるようになる前から「描く」ことはやったほうがいいんです。お絵描きをたくさんやっておくといいですね。
字を書くことが難しいのは、まだ子どもに鉛筆を上手に操る力が足りないからです。お絵描き遊びを通して、鉛筆をしっかり持って、自在に動かせるようになっていきます。
また、握力をつけること、手指の巧緻性(こうちせい・手先や指先を上手に使えること)を高めることは、早くから遊びの中で意識しておきたいですね。
すぐできて効果的なのは、新聞紙遊び、紙飛行機遊び、粘土遊びです。
新聞紙をギュギュっと丸めることは、握力を使います。
折り紙で紙飛行機を折ることは巧緻性を高めますし、作った紙飛行機を投げるときの持ち方は、鉛筆の持ち方につながります。
粘土をこねるのは、握力を鍛えられますし、ちぎったり、貼り付けたり細かな細工をすることは、手指の繊細な動きが必要なので巧緻性を伸ばすことにつながります。
ほかにも指先を使うこととしては、洗濯ばさみで挟む、手で豆をつまむ、少し難しくなりますが、ピンセットで何かを挟むということもあります。
これらもあくまで"練習"ではなく、子どもが遊びの中で自然に取り組める工夫ができるといいですね。
そして、筆圧を調節したり、思い通りの線を書けるようになるために大切な運筆(うんぴつ)も楽しくやっていきましょう。
迷路など市販のドリルでももちろん良いですし、今は無料でダウンロードできるものもたくさんあります。子どもの興味をひくカラーで楽しそうなものを数多くできたらいいと思います。
こういった種まきを、ひらがなが読めるようになるまでにやっておくと、子どもが字を書いてみたい!と思うタイミングがきたときに、比較的スムーズに取り組むことができるのです。
うちの子が文字を書くことを意識し始めたのは、お友だちからの手紙でした
手紙は、書く興味を引き出すには最強のツールですよね。
性別にもよりますが、だいたい3歳くらいで、お友だちとのお手紙交換ブームがくることが多いですよね。まだひらがなが書けない時期なので、絵のやり取りが続くと思います。
まずはこれに対する親の対応が大切です。 子どもが「お手紙のやり取りってすごく楽しい!」と思うようにちょっと演出してあげましょう。
お友だちにお手紙をもらったら、いっしょに喜んで、大切に飾ったり。
ママやパパが子どもから手紙をもらったら、大げさなくらい喜んで宝物扱いする。そういった姿を見て、手紙を書くことの楽しさや喜びが子どもに伝わっていきます。
そうすることで、自分も書きたい!喜んでもらいたい!という気持ちがわいてきます。
あまり書きたがらない子には、親から子どもへ手紙を書いてあげるのもいいです。"手紙をもらう"といううれしい体験を積み重ねてあげてください。
そして、パパにも書いてみよう!おばあちゃんにも書いてみよう!など、次につなげていきましょう。
絵のお手紙でのやり取りを続けていくと、子どもに「伝えたい」気持ちがわいてきて、文字を書きたい気持ちが育ってきます。
ひらがなを書けるようになると、ついもっと上手に書けるようにと練習させたくなりますが、やらせ過ぎないことが大切です。
ドリルなどで練習するのもよいと思いますが、もう少しやりたい、というくらいの時間に留めておきましょう。
そして、字の形などうまく書けていなかったとしても、それは指摘しないでください。
結果よりも「がんばって字を書いた」という過程をほめてあげてください。
それでも、書き順が気になってしまいます。クセにならないかと…
書き順は親がこだわるべきではなく、子ども自身が書き順を気にできる環境を作るべきです。
まず文字を教えるときは「ママも書いてみるね」と書いてみる。子どもは書き順や鉛筆の動かし方などを見て学ぶことができます。
しかし、それだけだと覚えていけないので、ドリルなどを使うときは、書き順が書いてあるものが絶対によいでしょう。
一画目、二画目、三画目と書く順番が分かりやすいもの、書く方向に矢印があるものを選びたいですね。これだと、意識しやすくなります。
いっぽう、子どもが練習しているときに絶対にやってはいけないのは、親が「そうじゃない、違う!」と言ってしまうこと。
子どもが見て、まねできる環境を作ったら、あとは指摘しないと親が強く思ってください。
一番問題なのは、"間違いを問題だと思ってしまう親の意識"です。
子どもにとってはそれがストレスになり書きたくなくなってしまうので、モチベーションを保てることを最優先しましょう。
あと、鏡文字などを気にする方もいますが、9割9分自然に直っていきます。鏡文字は、子どもの脳の発達過程で、反対に見えてしまうところからくることなので、あまり気にせず時期を待ちましょう。
幼児期までは、まだ文章まで書ける必要はないと思います。
幼児期から文章を親が書かせることは、途中で嫌になるなど、どう考えても後々デメリットしかありません。
子どもがお友だちから手紙をもらうと、「こんなに文章も書けるんだ…」と焦ってしまうこともあるかもしれませんが、お手紙で大事なのは気持ちのやり取りです。
その子は、伝えたいことがあったから書いた。その事実だけです。
子どもたちを見ていると、文を書くのが早かった子は、「書きたいことがあった子」です。
やりたいことの表現ツールとして、ひらがな、文章があったという結果だけです。
電車が好きで、その電車の名前を書きたくて、路線図を完成させたくて、ずっと書いているという子もいましたね。何かにグッとはまっていくなど、子どもなりの目標、動機づけがあれば、自然に文章で表現していきます。
親が「早く文章を書けるようにならなければ!」と気にする必要はありませんよ。
家庭教育アドバイザー TERU
幼児教育の講師。 1000人以上の子どもたちと関わってきた経験をもとに、0~12歳の保護者向けに知育、育脳、子どもとの接し方など家庭教育情報を発信している。登録者8万人超のYouTubeでは"子どもを成長させる"実践的な子育て動画を配信中。
YouTube:子育て勉強会 TERU channel
Twitter:@TERUkyoiku
Instagram:teru_kyoiku
ライター 赤司 陽子
大学卒業後、製薬会社での勤務を経て、大手教育関連企業に転職。約10年間幼児教育・小学生教育事業に携わる。その後夫の海外赴任に随行し、アメリカで出産・育児を経験。多様な価値観に触れる。帰国後、フリーのプランナー・エディター・ライターとして活動中。現在、5歳女子・3歳男子の年子育児に奮闘中。
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