花粉症は桜やチューリップでは起こらない!?子どもに聞かれてもこれで完璧!つらい症状のしくみを徹底解説!

花粉症は桜やチューリップでは起こらない!?子どもに聞かれてもこれで完璧!つらい症状のしくみを徹底解説!
まさに今、スギ花粉がピークで辛い思いをしている人が多い花粉症について。起こるしくみを子どもにもわかりやすく解説します。幼児でもわかるわかりやすい「子ども解説」つきで紹介します。
目次

中学高校の理科・情報教員免許をもち、インスタグラムで「子供のなぜ?を育てる理科育児」を発信中の5歳と1歳の兄弟のママ、はるかさんに、幼児から楽しく理科分野の関心をふくらませるための身近なヒントを教えていただきます。

今回のテーマは、今まさに辛い思いをしている人が多い「花粉症」について。

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花粉症の方はつらい季節ですね。じつは私も花粉症です。
大人同士の会話で「今日は花粉症がつらくて」と耳にしたり、テレビの天気予報で花粉飛散予報を目にしたりして、子どもから「花粉症ってなに?」と聞かれるシーンも多いのではないでしょうか。

子ども同士でも「〇〇ちゃんは花粉症なの」という話が出ることもありますよね。

花粉症って何?から始まり、身体の免疫反応のしくみ、おやこで春の花を楽しく観察するヒントまでご紹介します。

春の訪れとともにやってくる「花粉症」ってなに?

暖かくなり、植物の花粉が風で飛んできて目や鼻から人の身体に入ると、細胞が抗体をつくって花粉を外に追い出そうとします。身体の外に追い出そうとするため、くしゃみや鼻水、涙などの反応が出るのです。

この抗体の働きが過剰に起こることをアレルギーと呼びます。花粉が原因で起こるアレルギーは「季節性アレルギー性鼻炎」、通称「花粉症」と呼ばれています。

子ども解説

花粉症は、植物の花粉が目や鼻から入ったときに、追い出そうとする体の働きなんだよ。鼻水やくしゃみ、涙などで鼻や目から追い出そうとしているんだね。

花粉が体内に入るとどうしてくしゃみが出るの?

花粉が体内に侵入してから、どのようにしてアレルギー反応が起こっているのでしょうか。

この4段階で反応が起こります。

①花粉が鼻などから体内に入ります。
②体が花粉を"異物"と認識して細胞(マスト細胞)に抗体が作られます。花粉がその抗体に付きます。
③再び花粉が抗体に付くタイミングでヒスタミンなどのアレルギー物質が出されます。
④アレルギー反応(くしゃみ、鼻水、目の充血や涙)などが起こります。

「抗体」とは、体内に抗原(=抗体をつくらせる物質)が入ることによって作られ、抗原と特異的に結合してそれを体外に排除する役割を担うタンパク質のことです。

どうして花粉症になる人とならない人がいるの?

花粉などのアレルギーの原因となる物質が体内に入ると、IgE抗体という抗体が作られます。IgE抗体が作られやすい人は花粉症になりやすく、作られにくい人は花粉症になりにくいのです。

同じ量の花粉を吸いこんでも花粉症になる人とならない人がいるのは、この体質の違いなんですね。

また、花粉の飛散量が同じでも、土が多い場所では花粉が飛んでも土に吸収されますが、アスファルトが多い場所では、花粉が何度でも風に舞い上がり空中を飛んでしまうので、吸い込みやすくなります。

そういえば私が10年前に初めて花粉症を発症したのも、アスファルトとビルばかりの都会で働いていたときでした…。

花粉症を起こす植物はなんと60種類も!

スギ・ヒノキだけでなく、花粉症を引き起こす原因と考えられている植物の花粉は、約60種類もあります。
植物によって花粉を飛ばす季節が異なるので、春だけでなく様々な時期に花粉症の症状が起こるんですね。

チューリップや桜などの身近な花では花粉症は起こらないの?と疑問を持ち調べてみました。植物には昆虫(こんちゅう)の体にくっついて花粉が運ばれる虫媒花(ちゅうばいか)と風で運ばれる風媒花(ふうばいか)があり、花粉症の原因となっているのは風媒花の方なんです。

風に乗って花粉が運ばれるため、晴れて風が強い日に花粉の飛ぶ量が多いといわれているんです。

*花粉症を引き起こす植物の一例。飛散時期はピークの目安で地域によって異なります

花粉は植物にとって大切な役割をしている!

花粉症の話題では、まるで悪者のような扱いを受けてしまう花粉…。でも花粉がないと受粉(じゅふん)が行われず、果物や野菜も実りません。

春の花が咲いてくる季節。花粉症のことがわかったら、身近な花に目線を移し、実際に花粉や花のつくりを子どもたちと観察してみましょう。

ただし、花壇に咲いているお花を摘むのは厳禁ですよ!

まず花の形やしくみを観察してみよう

「花びらの中央に、めしべ、おしべ、おしべの先に花粉があるね」

チューリップはおしべ・めしべとも大きくて形が異なり、観察しやすいのでおすすめです。

花びらやおしべ・めしべの数を数えてみよう

次に花びらをばらして、数を数えてみましょう。

「チューリップは花びらが6枚、おしべが6本、めしべが1本だね。どんな花でも1つの花にめしべは1本で、おしべは花によって数が違うけれどめしべよりも多いよ。おしべからは花粉が出ているね。黄色い粉が花粉だよ」

その役割を知ろう

それぞれがどんな役割を担っているのかがわかると、果物や野菜など、身近な植物に結び付けて理解しやすくなります。

「なんのために花粉があるのかな?」

「おしべで作られた花粉がめしべにつくことを受粉と言うよ。今観察しているめしべにも花粉がついているね。受粉をするから、種ができて仲間を増やすことができるよ。果物や野菜は花が咲いたあとに実ができて、その中に種が入っているよね」

比較してみよう

つぼみや花が開いたばかりのときは、まだおしべから花粉が出ていません。数日にわたって観察していると、花粉が出てくるのがわかります。

※つぼみの花を開いた写真です

「どうしておしべやめしべは花びらの中にあるのかな?」

「植物は自分だけでは受粉することができないんだ。だからきれいな花びらや甘い蜜で鳥や虫をひきつけて、花粉を運んでもらい受粉しているんだよ。蜜を吸うときに花の上で動き回ることでも、受粉されるよ」

1月にわが家でいちご狩りに行った際、ハチがぶんぶんとハウス内を飛び回っていました。そんなとき「ハチこわい!」で終わらせるのではなく、子どもにハチが受粉をしているという話を伝えられるといいですね。ハチがいなければいちごはできないのです。いちごの花とともに、ぜひおやこで観察してみてください。

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なんとなくわかっていても、子どもに説明しようとするとなかなか難しい「花粉症のしくみ」について紹介しました。
ハーックション!とした後、ぜひ花粉症や花粉についておやこで話ができるといいですね。

スギ花粉のピークは4月ごろまで(続いてヒノキ花粉のピークを迎えますが…)。花粉症で辛い思いをしている人は、ピークが過ぎるまであと少しの辛抱です!

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執筆者

はるか

「日常のなんで?を大切にする理科育児」を実践し、日々の生活で子どもの知的好奇心を楽しく広げるヒントをInstagramで発信中。子どもの頃から理科が好きで、高校は理数科。大学ではバイオテクノロジーを学び、大手メーカーSEを経て私立大学で人の成長を支援する。キャリアコンサルタントの視点から、子育てとわたしらしく生きることの両立を応援する団体「ラシク」を2021年1月に設立。 中学高校の理科・情報教員免許。5歳と0歳の兄弟を子育て中。
モットーは「ママの世界が広がると子どもの世界も広がる」
Instagram: はるかの理科育児日記

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