保育園にわが子を預ける際、はじめは長時間預けることはせず、一般的に慣らし保育を行います。
慣らし保育とは、その名の通り保育に慣れること。ていねいな慣らし保育が、その後の子どもの園生活にも大きく影響していきます。慣らし保育の概要を知り、おやこで安心して園生活のスタートを切りましょう!
慣らし保育とは、子どもにとって初めての環境に少しずつ慣れるため、一定期間を設けて少しずつ保育施設に通っていく準備のこと。
大人でも新しい環境に身を置く時には緊張しますが、子どもにとっては、保育園は初めての集団生活である場合も多く、想像以上のストレスを生みます。さらに、初めてママやパパと離れる場所でもあるので、おやこで毎朝の別れを少しずつ練習する意図も。
慣らし保育を通して、子どもは安心して保育園に通えるようになるのです。
慣らし保育を行う理由には、以下のようなものがあります。
慣らし保育を行うもっとも大きな理由は、子どもが安心して園生活を送れるようにするため。ママやパパとはいっしょに過ごせなくても、あたたかい保育士や同年代の友だちがいること、楽しいおもちゃや遊具があることなど、少しずつ新しい環境を知って安心感を得られるようにしていきます。
保育園に通う練習をすることで、自然と生活リズムも整えていくことができます。家を出る時間から逆算して朝ごはんや身支度をする時間が、さらには起床時間・前日の就寝時間まで決まります。
慣らし保育はママやパパの送り迎えの練習期間でもあります。ただわが子を連れて行けばいいわけではないのが送り迎え。1日に使用する服やオムツ・食事用エプロンなどをセットしたり、セキュリティ対策がされている玄関から正しい手順で入ったり、練習が必要な場面も多々あります。
私たち保育士との信頼関係を築くためにも慣らし保育は必要です。子どもが安心して過ごし、すこやかに成長するためには家庭と保育園の信頼関係が不可欠。この期間にしっかりとコミュニケーションを取っていきましょう。
慣らし保育にはおおまかなスケジュールがあります。平均的な期間やスケジュールは以下の通りですが、あくまでも目安。数字にとらわれず、子どもの様子を見ながら調節することが大切です。
ママやパパ自身の仕事復帰の都合もあると思うので、子どもの様子をベースにしながら、その都度担当の保育士と相談しながら進めていくようにしましょう。
すでに仕事復帰をしているママ・パパにとっては、慣らし保育の期間も気になるもの。1週間や1ヶ月など、慣らし保育の期間は保育園によってさまざまです。なかでも多いのは、2週間前後で行うケース。
子どもの様子によっては、最初に保育士と相談して決めた期間より長くなったり短くなったりすることも。余裕を持ってママやパパのスケジュールも組んでおくと安心です。
慣らし保育では、最初は短時間を保育園で過ごし、少しずつ過ごす時間を長くしていきます。子どもの様子を見ながら、次のステップに進めるか担当の保育士と相談して決めていきます。
働くママ・パパにとって気になる、仕事と慣らし保育とのバランス。子どもに無理なく、そしてママ・パパの仕事にとっても無理なく慣らし保育を行えるのが理想ですよね。仕事と被らないようにする工夫や、両立させるための方法をいくつかご紹介します。
厚生労働省の「育児休業期間終了時における保育所入所の弾力的取扱いについて」では、慣らし保育を見越した育児休業中の入所は認められています。
ただし、育休扱いとなるのは子どもの1歳の誕生日を迎える前日までのため、注意が必要。誕生日によっては慣らし保育期間中に1歳を過ぎることもあるので、復帰までの期間を有給休暇や欠勤として扱ってもらうなど会社との調整をするようにしましょう。
慣らし保育期間中は、あまりに激しく泣き続けるなど子どもにとってまだ難しい様子があれば、予定時間よりも早くお迎えに来るよう保育園から連絡が来ます。
有給休暇を活用したり、欠勤扱いにしてもらったりしながら、慣らし保育に専念できる環境を整えるようにしましょう。
仕事復帰後でも、保育サービスを活用したり祖父母に協力してもらうなどすれば、慣らし保育に対応できます。保育サービスの種類もさまざまなので、家庭の状況などを考慮してぴったりなものを選んでみてください。
ママ・パパにとっても、子どもにとっても初めてのことばかりな慣らし保育。最初からすべてがスムーズに進むことはありません。思うようにいかなくても、焦らずに大丈夫。
少しずつ慣れていけるようにしましょう。慣らし保育期間中によくあるお悩み別に、解決のヒントをご紹介します。
登園時のお別れは、子どもにとってはもちろん、その場を去るママ・パパにとっても胸が締め付けられるようで辛いですよね。しかしここは乗り越えるべき壁。
「お迎えに来るから待っててね」と温かい言葉をかけ、心を鬼にして離れましょう。泣き続けていても、まだ言葉が分からなくても、ママやパパの声は特別。何も言われず引き離されるよりずっと、気持ちを切り替えやすくなります。
忙しい朝に、保育園へ行きたくないと訴えるのもよくあるケース。「今日は何をして遊ぶのかな」「〇〇ちゃんもいるかな」「かっこいいお靴、先生に見せに行かなきゃね」など、その先の楽しみを考えられるようにする方法や、子どもの好きな歌を口ずさみリズムに合わせて身支度を促し、朝の準備そのものを楽しめるようにする方法などさまざまなパターンを試してみて。
おやこで「登園は楽しんだもん勝ち!」という気分でおうちを出てみましょう。また、「行きたくない気持ちの日もあるよね」と一旦子どもの気持ちを認めることで、「だけどいっしょに行こうよ」という提案をすんなり受け入れてくれることも。「嫌だったけど、気持ちを切り替えられてすごいね」という一言も忘れずに。
給食やおやつの進みが悪かったり、うまく眠れなかったり、遊び始めることができなかったり……。なかなか保育園で安心して過ごせない場合は、家庭での親子の会話も大切にしましょう。
「今日の給食はおいしかった?」「保育園には好きなおもちゃあった?」などの会話が、保育園を楽しい場所として感じられるきっかけにもなります。また、お気に入りのタオルなど、安心できるアイテムも活用できるとベター。保育園に持ち込めるかどうか、相談してみるのも1つの手です。
離れていたママやパパとして気がかりなのは、保育中にどう過ごしていたのか。子どもの様子を詳しく聞くタイミングとしては、お迎え時がおすすめ。子どももママ・パパと再会できて落ち着いているので、ゆっくりと話すことができます。
保育士としても、お迎えのタイミングには日中の様子を詳しくお話しする機会として時間を設けている場合が多いです。
慣らし保育が始まると、あっという間に日々が過ぎていきます。少しでもスムーズに進めるためには、事前準備にコツがあります。
開始前から生活リズムを整え始めたり、慣らし保育のスケジュールには余裕を持たせたり、子どもの体調不良や緊急時の対応をママ・パパで話し合っておいたり。子どもの準備としては、保育園で使うグッズをおうちのなかでも使い始めたり、保育園が楽しい場所であると話しておくことも良い方法でしょう。
いまさら聞けない慣らし保育に関する質問に、保育現場での経験も交えながら回答します!
ママやパパの仕事復帰を考慮して、慣らし保育を実施しない保育園も存在します。しかし、子どものことを考えれば、慣らし保育は必須と言えるでしょう。
慣らし保育を通じて、子どもは保育園に慣れ、ママやパパも安心して働くことができます。まったく新しい環境に突然飛び込む子どものストレスを少しでも和らげるために、できるだけ慣らし保育は行うようにするのがおすすめです。
子どもが1歳を過ぎた場合、慣らし保育のための育休延長はできません。
申し込んだ認可保育園に実際には入園できなかった場合、所定の手続きを経て2歳までの育休延長が可能になります。延長の手続きには自治体による入園不承諾通知が必要であることからも分かるように、育休延長はあくまでも入園できなかった場合に可能で、慣らし保育のための延長は認められないという点に注意しましょう。
慣らし保育を取り入れているのは、保育園だけではありません。幼稚園でも、園ごとに実施方法は異なりますが、慣らしの期間を設けているケースが多くあります。
少しずつ慣らしていきながら、スムーズに園生活をスタートできるようにしましょう。
子育て中、気になるのが子どもの突然死を招く「SIDS」(乳幼児突然死症候群)。実は園での突然死は、預け始め1週間で多く起こるというデータもあり、子どものストレスとの関係性も指摘されています。
保育園側では、少しでも安心できるよう温かい関わりをしているのはもちろん、突然死のリスクがより高まる午睡中には、一定時間おきに呼吸の有無や寝姿勢を確認しています。実際に通う保育園での安全対策を確認したい場合には、午睡チェックを行う職員の資格の有無、緊急時に連携できる地域の小児科がどこかを尋ねておくといいでしょう。
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子どもにとって初めての外の世界となる、保育園。新しい環境に安心して通えるようになることは、子ども自身の心にとっても大切なことであるとともに、ママやパパが安心して働けることにも繋がります。
今回ご紹介した、慣らし保育を円滑に進めるためのコツやヒントを参考にして、おやこで乗り越えていきましょう。
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ライター・保育士 Akari
0・1歳の子どもたちと笑い合い、3・4・5歳の子どもたちと語り合ってきた保育士経験を持つWebライター。おやこ生活に役立つ記事を発信していきたいと思います。コスメライターの資格取得を機に執筆を始めたので、美容Webサイトを中心に執筆中。
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