いま年長のわが子、小学校入学が近づいてきました。楽しみな反面、うまく学校生活を送れるかな…と不安にもなります。新1年生が入学までにできるようになっておくべきことを教えてください。
幼稚園や保育園の年長組さんは、4月からいよいよ小学1年生。夢がふくらみますよね。
しかしそれと同時に、わが子が小学校でうまくやっていけるのか、心配になってくるころではないでしょうか。
親も子どもも、安心して「その日」を迎えられるよう、これだけはやっておいた方がいいことや今、やるべきことをお伝えしたいと思います。
初めての学校生活が円滑に進むために、今から取り組んでおいた方がいいことのひとつに「持ち物の整理整頓」があります。 たとえばランドセルの中や教室の自分の机の中が、いつもきれいに整理されていると、勉強も進みやすくなります。 そのために、まずは通園バッグの中をきれいにしておくことを今からでも意識させましょう。
お箸や箸箱がバラバラになっていないか、ハンカチや園からもらったプリントなどがくしゃくしゃに突っ込まれていないか、小石や落ち葉など、余計なものが入っていないか、などがチェックポイントです。
バッグの中が乱雑な子どもには、「お箸はちゃんとお箸箱に入れようね」「プリントはきれいに2つに折って入れようね」と、そのやり方を1から伝えるつもりで教え、大人がやって見せるのではなく、その場で子どもにさせ、できたならほめる、というのがコツです。
通園バッグの中の整理がうまい子どもは、そのままランドセルもきれいに使おうとします。逆に、バッグの中のぐちゃぐちゃ状態を見慣れた子どもは、ランドセルの中も机の中も、同じ状態になりやすくなります。
学校でのお楽しみのひとつが給食ですが、学校の給食の時間は短く、準備を含めて45分から50分しかありません。そのため食べるのが遅い子どもは、園では経験しなかったいろんな不都合がやってきます。
早食いがいいというのではありませんが、時間内に食べ終える習慣をつけることは、「きまりを守る」ということにもつながり、学校生活では大切なこととなってきます。
遅くとも30分以内に食べられるのが理想ですが、遅い子どもはふだんの食事で、時計を見ながら「長い針が〇になるまでに食べ切ろう」など時間を意識して食べ終えられるように練習しておきたいですね。
校内は上靴で、という学校は多いものです。
外靴から上靴に、もしくはその逆、という経験は園でもよくしていますが、1日の中の回数は、学校では比べ物にならないほど多くなります。
靴箱のまわりはごった返しやすく、そこで時間がかかると、次の行動に影響を及ぼすこともあるので、できれば「立ったまま」でも素早く履き替えられる練習をしておくとよいでしょう。
園で履いていた靴はもう小さく、履きにくくなっているかもしれないので、入学前に、大きさのチェックも忘れないように。
小学校のトイレはかなり洋式化が進んでいますが、和式しかない学校もまだ多くあります。和式トイレは公園などでも多くあるので、この機会に、和式でもできるようにしておくことをおすすめします。
実際の和式トイレに親子で入って、便器のまたぎ方、ズボンやパンツを下す位置、始末の仕方など、細かくていねいに教えてあげましょう。
案外すぐに覚えられ、その経験はずっと役に立ちます。
教え方のポイントは、他のことを教えるときと同じく、叱りながらではなく、ほめながら優しく具体的に教えることです。
ところで、親御さんがとくに気になるのは、おそらく「文字の読み書きができるようになっていた方がいいかどうか」ということだと思います。
確かにできるに越したことはありませんが、仮に今はできなくても、学校に入るとあっというまにできるようになります。
すでに読み書きができる子でも、書き順や文字の形を間違えて覚えてしまっていることがあり、むしろ学校で正しい読み書きを一から学ぶ方が、文字の形や書き順がしっかり身に付くかもしれません。
2学期の頃には、読み書きが入学時に誰ができていて誰ができていなかったかが、担任の先生でもわからなくなるそうなので、あまり心配しすぎなくて大丈夫でしょう。
さて、ここまで「入学までにやっておいた方がいいこと」を中心にお伝えしてきましたが、最後に「やってはいけないこと」をお伝えしましょう。
それは、「そんなことでは学校に行けないよ」「学校の先生に怒られるよ」という脅しです。
親以上に不安を持っているのは子どもなのに、これでは学校に対して、いいイメージを持てなくなってしまいます。
今は、「運動場は広いよ~」「楽しい遊具がたくさんあるよ」「新しい友だちが大勢待ってるよ」など、まだ見ぬ学校生活に夢や期待を持てるお話をたくさんしてほしいと思います。
ふだんの生活の中で、おにいちゃん(おねえちゃん)になったな、と思えることがあれば、それをほめ、「あ、わかった!だから小学校に行けるんだ」とひと言添えると、子どもも自信をもって「その日」を迎えることができますよ。
こどもコンサルタント 原坂 一郎
1956年、神戸市生まれ。関西大学社会学部卒業。神戸市内で23年間6か所の保育所勤務を経て、2004年「こどもコンサルタント」に。笑いと笑顔をキーワードに、子どもおよび子育てに関するさまざまな研究・執筆・講演を全国で展開。『読むだけで子育てがうんと楽しくなる本』(春陽堂)、『男の子のしつけに悩んだら読む本』(すばる舎)ほか著書多数。
Facebook:@IchiroHarasaka
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