「読書好きな子になってほしい」「たくさん読み聞かせをしてあげたい」という思いからどんどん増えがちな絵本。
でも、絵本は大きさがまちまちでうまく収納できず「なんだか雑然としている」「取り出しにくい」など、困っているご家庭も多いのではないでしょうか。
せっかくたくさんの絵本があっても、読まなければ意味がありません。
取り出しやすく戻しやすい、そして子どもが楽しく絵本を読むことができるようになる絵本収納のコツをお伝えします。
まず大切なのは、絵本を収納する場所です。
絵本はどこで読むことが多いですか?
ふだんリビングで読むのならリビングの近くに、寝る前にも読むのなら寝室にも簡易的な絵本置きを用意するなど、読む場所の近くに置き場所を作りましょう。
当然ですが、読む場所と絵本棚が遠いと元に戻せる確率が減り、出しっぱなしになってしまいます。
"読んだら戻す"の習慣づけのためにも、読む場所の近くに絵本棚を。椅子やクッションなど置き、落ち着いて読むことができる明るい空間をつくれるといいですね。
また、「あまり本を読まないな」と感じたら、本棚の向きなどにも注意してみてください。正面から絵本を取れるように変えるだけで、読む機会がグッと増えることもあります。
▲寝室に"寝る前に読む絵本"コーナーを作るのもおすすめ
図書館や園などで借りてきた“一時的に自宅に置いておく絵本”は自宅の本と混ざらないようしましょう。
絵本棚に入れたい場合は、「図書館の本置き場」などラベリングをしてわかるようにしておくとよいですね。マガジンラックや中が見えるカゴに入れておけば、「せっかく借りたのに、読むのを忘れていて気付いたらもう返却日!」なんてことも防ぐことができます。
そこに図書バッグも一緒に入れておけば、そのまま返しに行けて便利な収納になります。
場所を決めたら次は本棚の種類です。
カラーボックスなどの棚におもちゃと一緒に収納してもよいですが、絵本だけの棚の方が子どもが集中して読むようになるという研究結果もあるそうです。
まずは興味をもって取り出せるよう、子どもの目線より収納することができる棚を選びましょう。
子どもは字が読めるようになるまでは絵本を「絵」で選びます。表紙が見えるようにディスプレイしてあると自分から絵本を選び読むことができます。 背表紙を手前にしてすき間に差し込むよりも、取り出しやすく戻しやすい、インテリア性が高いというメリットもあります。
しかし、出しっぱなしになるので、ほこりや本の傷みが気になるというデメリットも。また、すべての本をこの形で置くにはかなりのスペースが必要になるため、絵本を厳選しなければなりません。
子どもが小さい間と使える期間がある程度限られてしまうディスプレイラック。長く使う予定がないのであれば、ディスプレイラックを購入するのではなく、一時的に表紙が見えるように収納できる場所を作るのもよいかと思います。
棚の上に簡単なカゴを置くだけでも絵が見えていれば大丈夫です。
奥行きがない狭い場所や壁面にもラックを作ることは可能ですので、DIYが得意な人はチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
字が読めるようになれば、絵本も普通の本の収納と同じように背表並べで収納してよいでしょう。
図鑑など大きい本も増えてくると思いますので、本棚の下の方に図鑑をシリーズで並べ、調べたい時にすぐ手に取れる場所に置いておくのがよいと思います。
わが家はリビングに置いているのですが、テレビを見ているときなどに図鑑で見たことがあるものや調べたいものがあると「あ!」と声を出して大急ぎで図鑑をとってきて「ここに載っているよ!」と私に見せて説明してくれます。
私も知らないことが多く、子どもとコミュニケーションを取りながら一緒に新しい発見を楽しんでいます。
絵本棚が決まったら、取り出しやすく戻しやすいように絵本を収納しましょう。
書店で本がギュウギュウに詰め込まれているため、手に取った後に戻すことができず、別の本の上にのせられている光景をみたことがあるのではないでしょうか。
自宅ではそのようにならないように収納の7~8割程度の量に収め、ゆとりがある絵本棚にしてみてください。そうすることで子どももストレスなく出し入れできますし、急に絵本が増えることがあっても対応することができます。
でも、ゆとりをもって収納すると本が倒れてきてしまいますよね。
しまうときに片手で押さえてもう一方の手で本を持ち…という両手の動作は子どもにはなかなか難しいものです。
そのためあらかじめ、簡単にしまえるように仕切りを使いましょう。ブックエンドはズレてしまうので固定するか、ズレることのないスタンドを使うと見た目もきれいに整います。
▲コの字型や仕切り付きのブックスタンドを棚に入れると倒れ防止に
今、「絵本が多いな」と感じる方は、リビングや限られたスペースにどの本を置くか、まず手持ちの絵本を整理してみましょう。
絵本を全部出してみて「よく読む本」「子どもがお気に入りの本」「これからの年齢にちょうどよい本」などを1軍と位置づけ、リビングの本棚に置きましょう。
それ以外の本は2軍として別の場所に移動します。
子どもが絵本を読む場所の近くに収納する絵本は子どもが楽に管理できる、片付けができる量にしておくというのがポイントです。この量が”読みやすく戻しやすい”の目安となります。
1軍に分けた絵本をさらに、「物語の本」と「ワークや音の出る本」と種類でわけてみたり、「大きな絵本」と「小さな絵本」とサイズで分けたりして、それぞれの絵本のおおまかな定位置を決めて棚に収納しましょう。
ここでのポイントは細かく分けすぎないこと。探すときに迷わない程度にお子さんと決めるのがよいのではないでしょうか。
余談ですが、わが家は私が絵本の研究をしていたこともあり、300冊近くの絵本があります。
その中から年齢に合った本を厳選しリビングに配置してきました。
夏には海水浴のお話を置くなど、季節で分けてみたり、子どもが車に興味を持ったら車の本を置くなど分野でわけてみたりと楽しみながら入れ替えをしていました。
分類の仕方に正解はありませんので、子どもにも聞いてみて読みやすいわけ方法で収納してみてください。
絵本が増えてしまったときには本の置き場は増やさず、今ある絵本を見直すようにしましょう。
成長してもう読まなくなってしまった本は、子どもにも聞いたうえで、別の場所に移動します。
その際には、ぜひリサイクルという方法があることを話してみてください。読まなくなった本は、他の誰かに読んでもらったほうが喜ばれるかもしれないという話をするきっかけになります。
思い出としてとっておくのか、小さな子に譲るのか、リサイクルするのかなど検討してみてください。
絵本は量が多ければよいというわけではありません。
全体のボリュームを減らし、取り出しやすく戻しやすい収納にした方が、お気に入りの本を読みやすく、自分で選べるようになります。
お片付けが苦手な子は、"まず1冊読んだら元の場所に戻す"ことから始めてみてください。
一冊の本を何度も何度も繰り返し読むことこそが子どもを成長させてくれます。知っている話だからこそおもしろく「もっと読みたい!」となることも。繰り返し読みたい本に出合えるのは素敵なことです。
スッキリした絵本棚のある読みやすいお部屋で、お子さんとの楽しい時間を過ごしてください♪
整理収納アドバイザー 副島 千尋
大学卒業後、金融機関に勤務。退職後、整理収納アドバイザーの資格を取得し、「ととのYELL」を設立。個人宅の整理収納サービス、コラム執筆、各種セミナー講師として活動中。快適で無理のない「ちょうどいい暮らし」を提案している。おもちゃコンサルタントでもあり、子どもとの関わり方、お片付けにも力を入れている。
「ととのYELL」
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