「半夏生」は、「夏至」から数えて11日目。2021年は7月2日(金)にあたります。昔から田植え作業を終える目安の日と言われ、それを過ぎてしまうと秋の収穫が減るという言い伝えもあるとか。
また、そろそろ梅雨があける時期。「半夏生」の日の天気でその年の収穫の出来を占っていたという地域もあるそうです。
今のような天気予報などがなかった時代、「夏至」や「半夏生」 などの暦は、日々の生活を送る上で、大切な節目となっていました。
1年で一番昼がながい「げし」から11日めを「はんげしょう」というんだよ。この日までに田うえをしないと、いねがうまくそだたないっていわれたりしているんだよ。
「半夏生にはたこを食べる」という風習を聞いたことはありませんか? 実はこれも、農業に深く関わっているのです。
「なぜ、農業なのに海のもの?」と不思議に思うかもしれませんが、ヒントはたこの足。8本の足のように、稲の苗が四方八方に伸びて大地に根付くように、という願いを込めているのだそうです。
おもに、関西地方での風習ですが、たこの旬もちょうどこのころ。タウリンや亜鉛が豊富なたこには、疲労回復効果があるといわれています。
農作業の繁忙期の疲れを癒すのにもぴったりだったというわけですね。
刻んだたこをしょうゆとみりんといっしょに炊き上げた「たこ飯」や、たこのお刺身やマリネなど、7月2日にはたこ料理を登場させてみませんか?
たこ焼きを家族でほおばるのもいいですね!
たこの8本の足のように、いねが地面にのびてそだつようにとねがったんだって。たこはえいようがあるから、田うえでつかれているときにもぴったりなんだ。
「半夏生」までに田植えを終える目安になっていると同時に、この日から5日間は休みとする地方もあります。
この間は天から毒気が降るといわれ、井戸にふたをして防いだり、この日に収穫した野菜は食べてはいけない、としていたところも。また、「ハンゲ」という妖怪が徘徊するといういい伝えもあるとか。
地方によってもさまざまですが、これらは、田植えで疲れた体を休めるための昔の人の知恵だともいわれます。
「半夏生」などの雑節は、古くから日本人の暮らしに根づいた暦と言われています。ちょうど季節の変わり目。現代においても、無理をせずに栄養をとり、体を休めることにつとめるのもいいですね。
エディター・ライター 田久晶子
出版社勤務を経て独立。「食」に関するテーマを中心に、生活情報全般を得意分野として雑誌、webなどで活動している。また、「食育」や「歳時記」など、子どもたちに伝えたい暮らしの工夫や知恵を紹介する記事も数多く執筆している
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