「海の水はどうして増えたり減ったりするの?」
海水浴で海に行ったり、潮干狩りで干潟を歩いたりするとき、疑問に思う子もいますよね。そんなとき、大人はどうわかりやすく説明したらよいのでしょうか。
海面の高さ(潮位/ちょうい)は一定ではありません。一日2回、最も潮位が高くなる状態から最も潮位が低くなる状態へ、ゆるやかな変化を繰り返しています。
このように約半日の周期でゆっくりと海面の水位が変動する現象を「潮の満ち引き」「潮汐(ちょうせき)」といいます。
この潮の満ち引きの干満の差(海面の水位の変化)がもっとも大きい日のことを「大潮(おおしお)」といいます。
潮の満ち引きで、海面の水位が最も上がった状態を「満潮」といいます。「潮が満ちている」「満ち潮」などと言われることも。
満潮とは逆に、海面の水位が最も低くなる状態が「干潮」です。「潮が引いている」「引き潮」とも。
潮干狩りはこの干潮のときに、砂の中に潜っている貝を掘り出します。潮の満ち引きの時間を気にせず潮干狩りをしていると、満ちてくる海水で濡れてしまったり、水位が上がるのに気づかないでいると思わぬ事故を招くこともあります。
宮島の厳島神社(いつくしまじんじゃ)は満潮時、社殿が海に浮かんでいるように見えます。一方、潮が引いたときには、回廊横の「鏡の池」を見ることができたり、満潮時には海の中に沈んでいる石垣などが姿を現すので、神社の全貌がよくわかります。
▲広島県の厳島神社。潮が満ちていると社殿も鳥居も海の上に立っていますが(写真上)、干潮時には鳥居まで陸続きに(写真下)。
フランス西海岸、サン・マロ湾上に浮かぶ世界遺産のモン・サン=ミシェル(Mont Saint-Michel)。ヨーロッパでも潮の干満の差が大きい場所として知られています。
遠浅の干潟が島全体を取り囲んでいて、今では橋があるのでいつでも島に行くことができますが、昔は干潮のときしか道が現れず、渡ることができませんでした。
今でも満潮の際には橋の上まで水が来て、足が水浸しになる事も。さらに1年に数回ある大潮では、最高水位が13mを越えるので橋が水没し、島がぽっかりと浮かび上がります。
▲大潮の時しか見られない孤島の姿(写真上)。潮の満ち引きによって見せる表情がまったく違う。
潮が満ちたり引いたりする現象は、主に月の引力(いんりょく)が海水を引っ張るために起こります。
「引力」とは、物と物が互いに引き合う力のこと。
イギリスのニュートンがリンゴが木から落ちるのを見て「リンゴは地球の引力に引っ張られて落ちた」と発見したものです。
月は地球のまわりをおよそ1日(約24時間50分)かけて回っています。月が地球のまわりを回るときに、月のある方の地球の海は月の引力に引き寄せられて海水がもり上がるので、海面の水位が高い満ち潮となります。
また、その反対側にある海は、月に引き寄せられる力は弱くなりますが、地球の自転(地球自体が回転している)の遠心力などにより、こちらも満ち潮になります。
こうして、地球の両側に海水が集まって満ち潮になると、その中間にある海は海水が減るので、引き潮となります。海面は月の公転に合わせて、半日(およそ12時25分)で満潮から満潮へ、または干潮から干潮へ、潮位が変わります。
月は地球のまわりを1日1回、ゆっくり回っているんだよ。
月が回りながら地球の海の水を引っ張るから、そのとき月側にある場所の海の水が多くなって、それ以外の地域は海の水が少なくなるんだよ。
海が高くなるときと低くなるときがそれぞれ1日に2回ずつあるよ。
子どもたちには"アニミズム"と言って、物事のすべてを生命あるものとしてとらえる特徴があります。「葉っぱがおしゃべりしてる」とか「お空が泣いている」というように。
海の水が満ちたり、引いたりを繰り返しているのは、お月さまと地球で引っ張りっこしてるから、というと小さい子どもには分かりやすいかもしれませんね。
月だけではなく、太陽も引力で海水を引っ張っています。月よりずっと遠くにあるため、その引力は月の半分ほどしかありませんが、太陽と月の位置によって、おたがいの引力が重なったり、ときには打ち消し合ったりして、潮の満ち引きが大きくなったり小さくなったりするのです。
太陽と月と地球が一直線に並ぶ、新月や満月のときは引力が重なるために、満ち引きが一番大きくなります。このようなときを「大潮」と呼びます。
日本の場合、太平洋側の満潮と干潮の差は約1.5m、日本海側はそれに比べると小さく、約40㎝です。世界でもっとも満ち引きが大きいのは、カナダのファンディ湾で、約15m(ビルの5階分に相当する高さ)にも及びます。アジアでは、韓国の仁川で約10mの満ち引きがあります。満潮時に停泊した船は、潮が引くとまるで座礁したようになってしまいます。
潮の満ち引きは月の引力によって引き起こされますが、古くから、満月により大潮が起こると、出産数が増加するという話が伝えられています。
羊水の成分は海水の成分ととても似ているため、羊水も月の満ち欠けによる潮の満ち引きに影響を受けると信じられてきたのです。
また、「人が生まれるのは満潮の時で、死ぬのは引き潮の時」など潮の満ち引きと人の生死が関係しているといわれることもありますが、正確にはわかっていません。
潮干狩りや釣りなど、海に行くときは満潮と干潮の時間を知っておくとよいでしょう。その変化を目で見て確認することができますし、急な海面上昇による事故も避けるためにも大切なことです。
気象庁のホームページでは、地域ごとにその日の満潮・干潮の時間と潮位を確認することができます。出かける前に親子でチェックするとよいですね。
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潮の満ち引きには自然の神秘があふれています。その理由を知ることで、引力や重力、また天体への興味にもつながります。
まずは潮干狩りや釣りなどの海遊びから、子どもの海への関心を引き出してみてはいかがでしょうか。
海の側で暮らしていると、海の水が満ち引きを繰り返していることに気づきます。
同じように、自然にはあるリズムをもった変化が存在します。例えば、朝がきて、昼になり、夜がきます。夏が終わるとだんだん寒くなり冬がやってきます。自然の中では、こうした大きなリズムが変わらず繰り返されていきます。
子どもたちはその不変の大きなリズムの中に身を置くことで、遊びや生活に自分で見通しをつけることができ、落ち着いて過ごすことができるようになります。
それは自然が用意したゆりかごのような時間変化です。
海の水の満ち引きもこうしたリズムのひとつ。
お月さまが昇ったり沈んだりするのと同じように、海も上がったり下がったりしてるんだと言うことで自然に伝わるかもしれません。
森のようちえんさんぽみち園長 野澤 俊索
NPO法人ネイチャーマジック理事長、兵庫県自然保育連盟 理事長、森のようちえん全国ネットワーク連盟 理事
神戸大学理学部地球惑星科学科 卒業。
兵庫県西宮市甲山にて、建物を持たず森を園舎とする日常通園型の自然保育「森のようちえんさんぽみち」を運営して10年。今では2歳から6歳までの園児25名と一緒に、雨の日も風の日も毎日森へ出かけていく日々。愛称は"のんたん"。森のようちえん全国連盟では指導者の育成を担当している。
プライベートでは2歳の娘の子育ても楽しみにしている。
ライター 福田チヅコ
主として大手通信教育会社にて未就学児や小学生向けの教材や告知物の編集・原稿執筆を担当。
その他、女性誌やWEBでインタビューや対談記事を手がけている。
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