お散歩に出かけるとどんぐり集めに夢中で動かなくなったり、園から帰宅するとポケットに小石がたくさん詰まっていたり…
幼児を子育て中のママやパパにとっては"あるある"のかわいい行動。
毎日たくさん持ち帰るそのタカラモノを、取っておくべきか、処分してもいいものかと悩んでしまうこともあるのではないでしょうか。
子どもはどうして、お散歩で何かを集めて持ち帰ってくるのでしょうか。そこにどんな気持ちが隠れているのか、「森のようちえん さんぽみち」の園長、野澤俊索さんにお聞きしました。
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「森のようちえん さんぽみち」では、子どもたちが毎日森へ通っています。一日森で遊んで帰ってくると、森で見つけたタカラモノで両手がいっぱいになっていることがあります。
クスノキの枝を折るとスーッとしたいい匂いがします。それを知った子どもたちは、クスノキの枝を見つけては拾っています。「ほら!」と見せに来たときには、小さな手からこぼれ落ちそうなくらい何本も握りしめていました。
また、別の子は「ほら!」と見せに来たその手の中に、白い小さな石を何個も持っていました。タカラモノ袋にツバキのピンクの花びらをいっぱい集めて見せに来る子や、観察ケースいっぱいにバッタを捕まえて見せに来る子もいます。
あるとき、子どものリュックが異様に重たいことに気づいた親が中身を全部出してみると、一番底から大きな石が出てきてびっくりしたという話を聞きました。子どもが興味津々で持って帰るものはこの他にも、川の水、泥、砂、木の削りカスなどなど、驚くほど多様です。
こうして見てみると、子どもたちがその日たくさん集めるものは、ある決まった種類のものであることが多いように思います。
また、一本の木の枝を大事に、大事に持って帰ることもあります。そんな木の枝が家にいっぱいあって困るという親御さんの話を聞いたことがあります。「これは捨ててもいい?」と聞くと、「それは、あそこで見つけたきりんにみえる木だからだめ」などのように、一本一本、いつ見つけたどういう木なのかをよく覚えているそうです。
それは、どうしても持って帰りたいという強い気持ちがある証拠です。同じようなことは、他の自然物についてもいえるでしょう。
石や木の枝、葉っぱや草花などの自然物に興味を持ち、集めたり持って帰ったりすることは世界中の子どもたちがしていることだそうです。となるとこれは人間としての本能的な部分に関わることなのではないでしょうか。
おそらく、何を集めるかということよりも、その日スイッチの入ったモノを「見つけた」という喜びや「自分のものにする」という欲求が満たされていくことに意味があるのではないかと思います。
また、思い入れのある一本の枝や石には、想像力が働いて、まさに世界に一つだけのタカラモノに見えているはずです。それを、どの枝よりもこの枝でなくてはダメだと熱望して大事に持ち帰る気持ちには、強い主体性を感じます。また集めることやそれをうっとり眺めることで、満足感や安心感を得られるでしょう。
昔、ある子が森で見つけてきた小さな切り株がありました。子どもたちはそれを使って台にしたりして遊んでは、どこかに隠しておき、またあくる日に出してきて遊ぶことを繰り返していました。
そのうちその子は、切り株にあいていた穴と木の枝を組み合わせて草を挟み込んだら、ねじれて草が編みこまれることを発見しました。それからその切り株は「ミシン」と呼ばれて、より一層大切にされました。
「ミシン」は毎日その子が持って帰り、次の日にまた持ってくるようになりました。「ミシン」はある時は映画の映写機になって、たくさんの子どもたちを集めて映画ごっこをする道具になりました。
一つの切り株が、子どもたちの想像力や創造性をふくらませて役割を変え、また主体的な遊びの中で子どもたちの一体感をもたらしたことがとても印象的でした。
自分で見つけたタカラモノを大事に持って帰るという行為が、こうした主体性や想像力に裏付けられた行為であると考えると、できるだけ止めないでやらせてあげた方がよいと思いませんか?
子どもたちのやることに無駄なことは一つもありません。今しかできないことを十分にすることで、子どもたちは成長の階段を上っていくことができるのです。
森のようちえんさんぽみち園長 野澤 俊索
NPO法人ネイチャーマジック理事長、兵庫県自然保育連盟 理事長、森のようちえん全国ネットワーク連盟 理事
神戸大学理学部地球惑星科学科 卒業。
兵庫県西宮市甲山にて、建物を持たず森を園舎とする日常通園型の自然保育「森のようちえんさんぽみち」を運営して10年。今では2歳から6歳までの園児25名と一緒に、雨の日も風の日も毎日森へ出かけていく日々。愛称は"のんたん"。森のようちえん全国連盟では指導者の育成を担当している。
プライベートでは2歳の娘の子育ても楽しみにしている。
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