知っていますか?幼児期にやっておきたい「36の動き」と遊びを楽しむことの重要性
コロナに悩まされ、振り回された2020年。外出自粛という未曽有の体験に子どもたちの運動不足というテーマが注目を集めました。おやこのくふうの#運動のきほんでは、そうした幼児にとってどんな運動が必要なのかを徹底取材。その#運動のきほんタグの2020年人気記事ランキングを大公開します。
幼児にとっての本当に大切な運動について、体の動きについての記事が人気を博しました。
3〜6歳の幼児期は、いろいろな動きがどんどんできるようになることに「おもしろさ」を感じるようになります。体の発達の基礎作りとなる大切な時期に「36の基本動作」を経験しておきましょう。いろいろな動作をすることで、動きがきれいに洗練されていきます。
「36の基本動作」は大きく3つに分けられます。
姿勢変化や平衡維持の「平衡系運動」
立つ・起きる・回る・(人と体を)組む・わたる・ぶらさがる・逆立ちする・(三輪車などに)乗る・(水に)浮く動きが含まれます。
上下・水平方向の移動や回転運動といった「移動系動作」
歩く・走る・跳ねる・すべる・跳ぶ・(棒などを)のぼる・くぐる・這う(はう)・泳ぐ動きが含まれます。
モノや自分以外の他者を扱う「操作系動作」
持つ・支える・運ぶ・押す・おさえる・こぐ・つかむ・(物を投げるなどして)当てる・(物を手などで)とる・わたす・積む・掘る・振る・投げる・(用具を使って物を)打つ・蹴る・引く・倒す動きが含まれます。
これらの動きは、ふだん子どもが楽しんでいる遊びの中に、複合的に含まれています。
たとえば鬼ごっこには、「たつ」「あるく」「はしる」だけではく「はねる」「つかむ」の動きも体験できます。文部科学省の「幼児期運動指針」には、幼児は夢中になって楽しく遊んでいるうちに多様な動きを総合的に経験できるようになるため、1つ1つの動きを意識するよりも「さまざまが遊びをすることが重要である」と記されています。
自発的に様々な遊びを体験し、多様な動きを獲得できるようにすることが幼児にとっては大切なのです。
おうち時間にぴったり! 室内で体を動かす6つの”運動あそび”を紹介した記事が2位にエントリーしました。
床にはりついた子をひっくり返すことができたら勝ち!!はりつく子はぐっと力を入れることがポイント。→体幹部分にぐっと力を入れる感覚を遊びながら体感できます。
上からヒラヒラ落ちてくるティッシュを上手にキャッチ!→変則的な動きで落ちるティッシュを目で追うことで先を読む力、反射神経、動体視力を養います。
片足立ちした子を、大人が「つんつん」押します。負けずに立っていられるかな?→倒れないように工夫をすることで、バランス感覚や体幹を使うことができます。
ひとりは座って手のひらと足をギュッとくっつける。もうひとりはくっついている手と足を開く!→座っている人は体幹にぎゅっと力を入れる。開く人はひっぱる力を使います。
2人で握手する(離れないようにしっかりと)そのまま相手の背中をタッチできれば勝ち!!逆にされたら負け!!→制限された動作内で相手の動きを見ながら次の動きを考える。見るチカラ、判断力を養います。
ひとりが仰向けで寝転び、もうひとりが近くに立ち上からピン球をそっと落とす。寝転んでいる子は落ちてくるピン球に当たらないように横に転がる。 ※ピン球のようなあたっても痛くないボールを準備する→いつ来るかわからないピン球を観察し、サッとよける反射力や集中力を養うことができます。
どれも幼児といっしょに簡単にできるものばかり。おうちで運動、というと動き回ることを想像しがちですが、その場でじっくり体幹を使う遊びなどが多く、支持を集めました。
心や脳の発達とともに、体もぐんと発達する就学前の幼児期。3歳~6歳の「運動」で本当に大切なのはどんなことなのでしょうか。
子どもたちが大好きな、われわれ親にもおなじみの「パプリカ」のダンス、「ブンバ・ボーン」の体操の監修もされている発育発達学の専門家・山梨大学の中村和彦先生にこの時期の運動について詳しく教えていただきました。
運動というと、足の速さや競技の技術などに目が向きますが、「本当に大切なことはまったく違う」という内容に反響がありました。
運動の発達段階でいうと、3歳から小学校入学までの時期に、「走る」「跳ぶ」「投げる」のような基本的な動きが一通りできるようになります。ここから、多様な動きや、なめらかできれいな動きを習得し、徐々に自分の体を自分でうまくコントロールできるようになっていくのです。
文部科学省では、この大切な幼児期の子どもに関わる保育者や保護者に向けて「幼児期運動指針」というものを出しています。それによると、3歳から6歳の小学校就学前の幼児について「様々な遊びを中心に、毎日合計60分以上、楽しく体を動かすことが大切」とされています。
ポイントは幼児にとっての運動は、遊びが中心であるということ。この時期におもいっきり体を動かして遊ぶことで、3つの「生きる力」が育まれていきます。
何かを知る、工夫する力。思考力や判断力、表現力、学びに向かう力など
コミュニケーション能力。相手を思いやる力、人を慈しむ力など
動作の習得や運動能力など。表に出てこない体の能力も含む
運動のための運動ではなく、あそびながら自然に運動している「運動あそび」がとても大切になります。そのキーワードはこの3つです。
おもしろく
ここちよく
みずから
滑り台、ブランコなどの固定遊具や、なわ跳び、ボール遊び、鬼ごっこやパイナップルジャンケン…遊び方は子どもが自分から楽しく遊べるものであれば、何だってOKです。
昨今、日本の子どもの体力低下が叫ばれて久しくなりました。体力が低下した原因は2つが挙げられます。
この時期の子どもに大切なのは、動きの「バリエーション」です。例えば、鬼ごっこには、後ろにも横にも「走る」、さらには「止まる」「よける」「つかむ」などの動きがあるなど、遊びには、いろいろな動きが含まれています。
遊びながらいろんな動きを経験することで、体全体がバランスよく発達していきます。幼児期は「これができない」「この能力を身につけさせよう」と焦る必要もありません。
それよりも、運動あそびに熱中できる体験こそが、これからの人生を生き抜く大きな力となります。
文部科学省より平成24年(2012年)に出された「幼児期運動指針」には、幼児期それぞれの年齢での一般的な運動の発達の特性と、その時期に経験しておきたい遊び(動き)の例が紹介されています。
年少にあたる3歳児、4歳児。多くの子が幼稚園や保育園などで集団生活を経験するようになり、運動においても、ぐんとできることが増え、お友だちと一緒に体を動かして遊ぶ楽しさも知っていきます。
この時期、運動においてどのような発達段階なのか、それをふまえてどんな動きを遊びに取り入れたらよいかをご紹介します。
「自分の体の動きをコントロールできるようになる」3歳から4歳の時期には、以下のような動きが自然と遊びの中で行えるよう、見守ってあげてください。
細いところを落ちないように橋渡りをする・横歩きでそろそろ進む、はしごを渡る、傾斜のついた斜面を歩く、鉄棒などにぶら下がる…などで、バランス感覚を身につけていきましょう。
段差のあるところを上ったり下りたり、高いところからジャンプしたり。
シンプルな動きではありますが、体の重心を移動させることは体幹を鍛えることにもつながり、運動能力を高めることには欠かせないものです。
3歳、4歳児にいろいろな動きを経験させるのに、公園はぴったり! いろいろな遊具を使い、全身を使って遊びましょう。たとえば滑り台。座って滑ることのほかに、横になって滑ってみたり、立ったまま下りてみたり、斜面を登ってみたり…ひとつの遊具でも遊びがぐんと広がり、色々な動きの経験につながります。
幼児期の運動の取り組み方について、「幼児期運動指針」(文部科学省)の内容を抜粋しながら解説した記事にも注目が集まりました。
幼児は毎日60分以上、体を動かすことが大切です。
そして「60分運動しなきゃ!」と構えすぎる必要はありません。「合計60分」にはさまざまな生活動作や遊びの中で体を動かすことも含まれています。
体育の授業のように正しく運動をする必要はないのです。幼児の運動で大切なのは「楽しく体を動かす遊びを中心に行うこと」。その遊びをベースとなる体づくりにつなげるために、以下の3つのポイントが大切だとされています。
【3歳〜4歳】やっておきたいのは「バランスをとる動き」「体を移動する動き」
幼児期運動指針ではこの時期に、
・屋外での滑り台、ブランコ、鉄棒などの固定遊具や、室内での技巧台やマットなどの遊具の活用を通して、全身を使って遊ぶことなどにより、立つ、起きる、回る、渡る、ぶら下がるなどの『体のバランスをとる動き』
・ 歩く、走る、跳ぶ、上る、這う(はう)などの『体を移動する動き』
を経験しておくことが望ましいと述べています。
【4歳〜5歳】やっておきたいのはお友だちと一緒に「用具などを操作する動き」
全身のバランスをとる能力が発達してくるこの時期に取り入れたいのが、「用具などを操作する動き」です。例えば、身近なボールを使って投げる、キャッチする、蹴る、つく、転がすなど。やわらかいボールや風船を使えば室内でも楽しめます。
【5歳〜6歳】やっておきたいのは複数の動きの組み合わせ+ルールを理解して楽しむ遊び
5歳〜6歳になると、基本的な動きがより上手になってきます。さらに、走ってきて跳ぶというように複数の動きを連続的に行う、ボールをつきながら走るというような複数の動きを同時に行うなど、「基本的な動きの組み合わせ」ができるようになってきます。 幼児期に36パターンの基本動作から構成されている人の動きを身につけることで、将来いろいろなことにチャレンジできるようになります。いかにたくさん動くかよりも、いかに楽しみながら取り組むか。
親は安全に遊べるように見守りつつ、自由にさまざまな遊びを楽しめる環境を作ってあげましょう。
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